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(2002.11.10)


過程の輝き

このホームページを見て下さっている若い年齢層の方に、今日は魅力的な人生を生きるヒントをお話したいと思います。
先日、あるホテルを番組のロケで伺いました。
ホテル社長とのお話の中で、もっともだと思ったことがあります。
社長は、ホテルのデザインや内装の凝ることよりも、従業員のお客様に対する接し方や、心からおもてなしをするという点についての心構えが大事で、そういうホテルを創りたかったという考えから、全国のホテル旅館とは一味違うものを出店したということで、オープン当初は周りからは排他的な言葉やいろいろあったが、今、多い客で90回のリピート、また、顧客の90%がリピーターで埋まり、苦労を超えた甲斐があったという話をされていました。
当たり前の話が、実はなかなか出来ない話なのです。
私も、ホテルコンサルにおいて、施設、商品、サービスの中で大事なことは、その三拍子が揃ってホスピタリティーという概念に包まれて整うことだとどれほど訴えて来たことでしょう。
マニュアルも無く、アドリブで顧客を喜ばせることが今の時代は忘れられ、言葉は愛想が良く、目は別を見ていると指摘した物件は実はかなりの数に上ります。
人間誰しも、形から入ろうという心理があります。見栄や虚栄も働きます。
また、そのことに簡単に迷わされる方もいます。
ブランドとは、それを持つ事ではなく、それを手にする過程にあるということを誰もが往々にして忘れがちです。
その点についてのアンバランスは、例えば所有している車と生活観の誤差に現れたり、着ている服装と所作や言動が釣り合わない形で表現されたりして、そのことを指摘され初めて気付く。といった形で現れます。
全てがそのような現象として演出してしまう日本人のこの癖はやはり、バブルの時代に酔った後遺症でしょうか。それとも歴史が創った思想観念でしょうか。
私も、部下や後輩、学生達に伝えてきました。
人間、中身から輝かなければ本当の魅力は出せないものだと。
表面を着飾ることはいとも簡単に出来ることですが、中身を磨くことは傷みや我慢を強いられます。でも、その時間を潜らなければ、厚みのある人格は創り得ません。
もっと言えば、表面はどうでも良く、中身だけで本当に魅力的な人もいます。
それは心だったり、人格だったり、所作だったり、よく「育ちがわかる」と言いますが、まさに人生観に現れています。

所詮、人間は裸だ!と言いますが、裸が美しい人間はどんな服装でも美しいものです。
美しくなりたい。素敵になりたい、かっこ良くなりたいと思うなら、お金を出してそのツールを手にするのではなく、その目標に到達するまでの過程が目標のスケールを決めるものだということを忘れたくはないと思います。
磨きこまれた家具だって、年期を感じる調度品も、それなりの手間と時間を越えなければあの深みはどんな技術でも出せないのです。
最短距離で武装しても、皮は剥れるものだということを忘れないでほしいと思います。
苦しめば苦しむほど喜びは大きく、沈めば沈むほど高くジャンプできることを知り、生涯努力していくことは私の信条でもあります。
ホテル社長の話に戻りますが、そのような思想で運営されているそのホテルは、無用なお金はかけていませんでしたが、実に風情のある、時間を忘れ、何となく夢を見ているようなそんな空気を感じるホテルでした。

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