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(2002.11.16)


デザインについて考えること

奇をてらい、ポストモダニズムに憧れて、意味も分からず流行を追い、そしてどこかの国の真似をする。日本人の悪い癖です。

確かに、全ては真似から始まりました。でも、思想のない、哲学を感じないデザインは、例え世に出たとしてもやがて、様々な弊害をもたらすと思うのです。アートとデザインの違いは、芸術かマーケティングに基づくか、の違いであり、デザインは時代の文化を築くとも言われています。

更に、機能やコスト面などのファクターが混在します。アートは自由ですが、デザインはアートほど自由ではない制約の中での研鑚です。だから、非常に難しい分野の内容になります。真似をしたくなります。でも、真似たら負けだと随分、部下たちに教えました。「誇りを持て!」と僕は学生達に教えました。観光客は目的地の魅力を堪能するために行動します。海外からの渡航客は日本の美しさを堪能するために渡航し、どこを見るでしょう。

京都や奈良、といった観光地には(日本)が見えます。東北には輝かしい四季の美しい自然があり、また、飛騨の合掌や瀬戸内の美しさ穏やかさなど、それらを確かめに来るのです。そして、それらの景観は物言わずに観光客を癒し、もてなしてくれます。(日本)が見えない場所は世界に通用する日本の観光地にはなり得ません。

自国を愛するということは、現在問題になっている拉致被害者の課題などに非常に多くを考えさせられる内容がたくさん詰まっています。海外に出て、僕は日本を誇りに思いました。故郷の美しさや母のぬくもりや人情の温かさなど、日本人で良かったと感じました。日本を誇りに、「らしさ」を追求したとき、日本人だからこそ可能なデザインに行き当たります。伝統工芸などはその類かも知れません。宮大工や造作大工の匠にも現れています。

最近はリバイバルでゆかたや下駄といったものが復活し始めています。商業建築の分野では、数十年前の民家の古家具や建具が解体されて、その部品が現代建築の重要点に配置されるようにもなって来ました。

僕も先日、目黒まで出向き、「コタツやぐら」を3個、購入しました。あの時代のコタツやぐらというものは、一辺が30〜45センチの非常に可愛い組子家具です。リビングのフロアースタンドにしつらえようと思っています。

これこそ、残さなければならない文化だと思うのです。そして、その基盤に立ったときに日本のモダンが出現すると思うのです。妻はミッドセンチュリーのテイストを好みますが、僕も大正から昭和初期の建築物や家具調度品に非常に興味を持っています。

洋風文化が到来し、恐れと憧れの両輪の中で試されたあの時代のデザインは、ある意味では、自国を象徴する最大限の努力の賜物ではないか、といった目線で見上げた時、その重みを感じないではいられません。
世界が日本を真似るような、日本でしか出来ないようなそんなデザインを模索していこうと思っています。

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